人類はなぜ進化し、高度な文明を作る事ができたのか?
第2回 文字の発明
性懲りもなく人類の進化についてです。
第2回目は、文字の発明について考えてみます。
過去の記事は以下からご覧になれます。
・第1回 言葉の発明
それでは、文字の発明について、はじまります。
言葉を巧みに使いこなし、様々な情報を蓄積していくと記憶力の限界に達します。
情報が多すぎると覚えきれなくなるのです。
言葉で色々な情報が入ってくるようになりましたが、聞き間違えたり忘れたりして上手く伝わらないことがあります。
また、人から人に伝わっていく過程で意味が変わってしまう事もあります。
(皆さんも伝言ゲームなどで、最初と全然違う言葉になってしまう事を経験したことがあると思います)
せっかく言葉と言うツールを使用しても、忘れたり間違って伝わるのでは意味がありません。
文字の発明
そこで発明されたのが文字です。
最初の文字は、言葉を伝えると言うより、動物や植物などのイメージを描くことから始まったようです。
危険な動物の絵や、食べられる木の実などです。
そのうち、絵を組み合わせて、言葉を表現するようになります。
所謂、象形文字と言う文字です。
最初は、シンプルな絵が単独で書かれているだけでしたが、少しづつ複数の絵が並ぶようになり、複数の絵を並べて単語として表現されるようになり、
単語を並べて、簡単な文章になっていきます。
絵の形も、書きやすいように、簡略化されていきます。
文字の発明は、脳の進化に匹敵する効果をもたらします。
人が記憶できる最大量を100とすると、100以上の事は文字として残せば覚える必要はなくなります。
必要な時に文字を読めば、情報を利用できるので、記憶能力が増えたのと同じ効果があるのです。
何万年もかけて脳を進化させ、記憶容量が増えるのを待たなくても、文字で記録した情報を読めば良いのです。
しかも、文字はどこにでも書けます。
壁でも、石でも、土でも、簡単に消えない所であれば、後々まで残すことができますし、消えかけたら、他の媒体に書き写せばよいので、長期間の保存ができます。
目や耳、言葉から得た情報はどんどん増えていき、通常の進化だと何万年もかかる知能の進化を、たったの数年で達成する事が出来ました。
そして、今後も進化は続いていきます。
現在の高度な文明を持てるようになったのは、文字の発明なくしてあり得なかったのです。
文字と言うのは、現在を生きている私たちにとっても大きな存在です。
人から聞いたことは、一時的に記憶として残りますが、時間が経つにつれ消えていきます。
自分の頭の中で考えたことも、時間が経つにつれ消えていきます。
そこで登場するのが、文字と言うツールです。
文字と言うのは、記録する機能以外にも、言葉を形として見せる機能も備えています。
人と言うのは、話しを聞いて重要な部分と不要な部分を判断し、重要な部分だけを記憶として残しています。
しかし、最初に不要と判断したことでも、話しを進めていくうちに実は重要だったという事もよくあります。
再度聞き直すことができれば問題ないのですが、聞き直せない場合は記憶として残りません。
また、会話や思考は前後関係が曖昧になったり、話しが逸れたり、同じことの繰り返しになることも多くあります。
会話や思考を文字にして残すことで、話しの前後関係、不足している情報、辻褄が合わない事が見えてきます。
言葉を文字と言う形にして見る事で、
・情報の精度を見極める
・次に必要な情報を知る
・情報の重要度を付けられる
ことが出来るようになりました。
効率よく情報を集め、情報の精度を高めていくようになったのです。
また、文字として残すことで、直接伝える必要がなくなります。
「伝言」を残すことで、当人同士が同時刻に同じ場所に居なくても、コミュニケーションが取れるようになり、「時間」も自在に使えるようになったのです。
人類は文字を発明する事で、知能を進化させるだけでなく、知能の進化だけでは補えない、記憶の何万倍・何億倍と言う情報を手にすることが出来たのでした。
このように、言葉の発明で単独では出来ない事が出来るようになり、文字の発明で高い文明を作るようになりましたが、もう一つ人類の進化に大きな影響を与えた事があります。
道具の発明です。
次回は道具の発明について考えていきたいと思います。
最後に
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
最後に書籍のご紹介をして、第2話を終わりたいと思います。
この記事を書くにあたり、「サピエンス全史」に大きな影響を受けました。
「サピエンス全史」は、人類の歴史や未来について、今までの歴史書とは全く異なる視点で掘り下げた本です。
本当に良い本ですし、非常にわかりやすく解説しています。
私はこの本を読んで、考え方が大きく変わりました。
人生を変える本と言うのがあると言われていますが、私にとってこの本は人生観を変える一冊になっています。
NHKなどでも取り上げられているので、ご存知の方も多いと思いますが、ぜひ一度読んでください。
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